医者向けのちょっといい情報

開業医が医者向けのちょっといい情報や医療ニュースについて語ります

医師の残業、長時間労働問題

つい先日、日赤医療センターの残業時間の問題が報道され、騒ぎになっています。月200時間までと労使間合意で規定したこと自体も問題ですが、そもそも150時間の超過勤務していた方が亡くなったら、過労死だと大々的に報道されるご時世で、200時間以上働いていた医師が10人以上いたというのも、一般の方からしたら、驚きの事態でしょう。

 

 

超過勤務に関しての問題点

そもそもこういうことが起きる理由というのを自分なりに考えたので、列挙してみます

  1. 医師の応召義務
  2. 医師が少ない
  3. 患者数、業務量が多すぎる
  4. 残業してもすべてがきちんと認められなかった
  5. まだ古い価値観で動く医師も多い

医師の応召義務

医師は、患者さんが診療を求めたときに合理的な理由がなければ、拒否できないと医師法19条に規定されていて、これが本来の定義とは違う「救急患者」も診察しなければいけないという一つの根拠とされます。例えば、明らかに緊急性のない患者さんが「昼間は都合がつかないから」という理由で、夜中救急外来に受診した場合でも、一応診察はしなければいけないという話です。大概そういう患者さんは理を尽くして説明しても、ますます自己主張をするのみで、結局時間を取ってしまうため、「とりあえず処方」で返してしまうことも多いのです。

医師が少ない

こちらも近頃はニュースになったり、m3.comでも話題になったりますが、基本的には「救急、メジャー科に携わる医師が少ない」「都合よく働いてくれる医師が少ない」「地方の基幹病院で働く医師が少ない」と言うことで、絶対数的に足らないとは私は思いません。正直、美容や怪しい自費診療に携わる医師も増えすぎかと思います。

患者数、業務量が多すぎる

これはなんとも言えないですが、昔よりも説明に時間を要する、手続きが煩雑になった、ということは言えると思います。処方のみと言うことで、適当に捌くことが許されないことや、昨今の経済事情で、共働きなども増え、患者さんの受診時間がシフトしている部分もあるでしょう。

残業してもすべてがきちんと認められなかった

 これは私も経験がありますが、残業をしても、何時間以上はつけるな、とか、そもそも残業自体の概念がはっきりしてなかったので、表面上の問題にならなかっただけ、というのもあります。例えば、土日の病棟当番も、残業のはずですけど、残業手当をもらった覚えはないですね。むしろ、若手の医師に関しては、残業は昔の方が多かったのではないかと思う節もあります。

まだ古い価値観で動く医師も多い

一つ前の項目にも関係するのですが、どの世界にも「仕事が趣味の人間」はいます。自分だけならいいのですが、そういう人は大概、「俺がこれだけやるんだから、おまえもやれ」的な発想を持ち、許容量以上の仕事を振ってくることが多いです。下で働く医師は困ります。また、医師とはそういうものだ、患者さんを救うためにはどのような労も厭わないという考えもありそうです。義務感や誇りが高く、立派だとは思うのですけど、問題の解決にはむしろ障害となります。

まとめ

確かに医師の残業問題には制度上の問題などもあり、変えていかない部分が多いかと思いますが、医師本人も一度振り返って考え、無理な残業を増やさないように振る舞う、おかしいところがあれば、経営側とまとまって交渉をする、などの努力が必要かも知れません。