医者向けのちょっといい情報

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レントゲン撮影を臨床工学技士にさせていた医師が書類送検に

聖隷佐倉市民病院の医師が、臨床工学技士にレントゲン撮影をさせていたということで書類送検されました。m3.comなどでも盛んに議論されている話題ですが、ちょっと解説します。

レントゲン撮影は資格が必要

当然のことですが、レントゲン撮影は人体へ害を及ぼす可能性のある医療行為のため、行う場合は資格者が行う必要があります。診療放射線技師法では、診療放射線技師、医師、歯科医師のいずれかの資格が必要とされています。

診療放射線技師とは

診療放射線技師は、大学や専門学校で3年以上、必要な知識と技能を学習した後、国家試験に合格して得られる国家資格です。

放射線を使った画像検査全般以外にも、眼底撮影や超音波検査などにも携わる可能性があります。

病院における業務

大きな病院などでは、レントゲン撮影のほかにもMRIなど扱いに専門知識や経験を要する検査があり、業務量の多さからいっても、診療放射線技師が必須となるので、必ずいるものですが、大規模な病院でも、それほど多数の技師が在籍することはないと思います。

一般診療所においての業務

無床の診療所でも、やはりレントゲン撮影は必要性があるため、診療放射線技師が在籍しているクリニックもあります。ただ、撮影が1日数件しかない場合、その検査専用に技師を置くのは経営上も無理があるため、ほかの業務兼用でやっていただくか、そもそも診療放射線技師を置かずに、医師が撮影しているクリニックも多数あります。

昔からの風習

特に無床の診療所では、人手がなく、診療効率を上げるために、看護師などが下準備して撮影ボタンを押すというのが当たり前だった気がします。それに対して、時々見せしめ的に検挙されたりもしていましたが、実際、ボタンを押す以外の部分も、ほとんど設定などルーチンで行われるため、誰がやっても問題ない、と思ってしまう医師もいそうではあります。

今回の事件は、医師が自首したとのこと

どういう事情かわかりませんが、実際のことが起きたのが2015年2月、翌月の3月には病院を退職して、2016年の9月に警察に自首のメールを送ったと言うことになっています。わざわざ1年以上たってからそういう行動をする理由がわかりませんが、何らかの圧力がかかったのでしょうか?

この手の事件についての問題点

この手の事件についていつも思うのは、同じような話なのに指導で終わったりとか、いきなり立件されたりとか、どこで線引きしているのかわからない、ということです。実際、この病院で10年ほど前から、習慣的に行われてきたと言うことで、ほかにも同じようにスイッチを臨床工学技士に押させた医師が、多数いたはずなのに、そのことについてはおそらく立件されていないと思われるのです。

今回のケースも特に健康被害は起きていないとのことなので、特別に悪質性や被害がないのだから、この1件だけ書類送検は、なんとなく不公平な感じはします。「うちは大丈夫だろう」とたかをくくる先生もいそうな状況です。犯罪全般に言えることですが、逃げ道が広いと、それだけ抜け道を通ろうとする人が多くなりますので、きちんと「やったもん勝ち」がないようにしたいところです。