医者向けのちょっといい情報

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なぜ医者なのにお金がないのか

さて、今日のお題はこれでございます。

なぜ医者なのにお金がないのか。

まあ、逆にすごいお金持ちの人も多いのですけど、ない人もいます。その理由について考察します。

そもそも医者は高収入なのか

役職、経営母体の違いによって、平均収入にも大きな差がありますが、中医協の最新のデーターを見てみましょう。下図は、

www.mhlw.go.jp

から改変したものです。上が無床の診療所、下が病院の職種別の収入のデータです。開業医の院長は給料は多いですが、賞与がありませんので、合計での収入額は病院長も医院の院長もあまり変わりはない額になっています。一般医師については、やはり病院勤務の方が時間外労働や当直があるためか、多めの金額となっています。

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大体、病院長、開業医院長で2700万円、病院勤務医が1500万円、クリニック勤務医が1300万円位でしょうか。一般的な感覚で言うと、これはかなりの高収入かと思います。

可処分所得

さて、年収を見ると、「俺の3倍以上だよ!」とかおっしゃる方もいると思いますが、実際に手元に残るお金は年収とは違います。年収から、税金や社会保険料など、必ず払わないといけないものがあるので、そういうものを引いて求めた金額が可処分所得となるのです。ちなみに、必ず払うと言っても、家賃とか教育費は、引く金額に含まれません。

例えば年収1500万円の病院勤務医(独身)を例に取ります(計算は2017年11月現在の制度に基づく)と、

  1. 1500万円から給与所得控除220万円を引いた額が1280万円
  2. 1280万円から、基礎控除38万円を引いて1242万円。
  3. 健康保険料厚生年金保険料は労使折半で半額を払います。協会けんぽの場合で73406円+厚生年金56730円を自己負担で払いますので、1年で156.2万円ほどです。これをさらにひいて1085.8万円が課税所得です。
  4. 1085.8万円に所得税率33%をかけると、358.3万円ですが、これから課税される所得金額に応じた控除額である153.6万円をひいて、204.7万円が所得税額となります。
  5. 住民税は調整もありますが、課税所得の約10%ですので、108.6万円。
  6. 所得税と住民税の合計額は313.3万円。
  7. 1500万円から、その税金分と社会保険料を引くと1030.1万円

本当に大雑把ですが、上記の数字からさらに細かく引かれる分もありますので、1000万円くらいと言うことになります。

(本当に適当な計算なので、間違っていたらごめんなさいです)

可処分所得からさらにかかるお金

年間1000万円、月額にして月80万円強。税金などは引きましたが、そこからさらにかかるお金が当然ありますね、衣食住の費用は当然かかりますが、特に医者の場合、お付き合いや多少の見栄がありますので、そこら辺が大分かかります。東京の都心部で賃貸暮らししたければ、ワンルームでも10万円以上はします。病院からあまり離れるわけにも行きませんので、それなりの物件を契約する必要があります。

食事はかなり個人差がある部分と思いますが、独身の場合、なかなか自炊を維持するのは難しいので、外食が多く、高級な食事をしないにしても、エンゲル係数はどうしても高くなります。病棟や外来、医局などのお付き合いの宴会なども、医者の場合は1万円、看護師は2千円とか、結構多めに負担がかかることが多いです。

家族がいれば、税金などは控除がついて少なくはなりますが、今度は頭数が増えた分、生活費、教育費などが大幅に増えるので、フリーなお金はさらに減ることになります。

将来のことを考えたら、生命保険なども入らないといけませんし、持病があれば、医療費、あれだこれだが、結構かかります。

 

学会やお勉強の費用

特に専門医資格などを持っている場合、学会への所属、参加が維持する上でも必須となります。勤務医の場合は、学会への参加費用なども年1回までとか、自分の発表の時のみ、とかで、大半は自己負担となるケースが多いです。これも結構な金額になります。

医学書や医学雑誌も、一般的な書籍に比べるとかなり高く、あれもこれもと買っていると、かなりお金が出ていくことになります。

医者で車好きは結構多いです。まあ、お金持ちのステイタスとか言われますが、車だけでなく、維持費もかかることを考えないといけないです。東京などの都心部はともかく、地方在住の場合は車がほぼ必須となるので、高いけど、せっかくだから…という感じになります。勤務医の場合では、車の所有は原則1円も経費になりませんので、身の丈に合わない車の所有は、どうしても家計を圧迫します。

ちなみに、開業医(個人事業主や法人)の場合は数割〜全額が経費となりますので、税金で払うくらいなら…みたいな発想も生まれます。 

ギャンブル、投資

ギャンブルは、大王製紙のなんとかさんの例を出すまでもなく、いくらお金があってもなくなりますし、競馬やパチンコなどは意外と好きな医師も多いです。

ギャンブルとひとくくりにするのはどうかという意見もありますが、先行きが予測不能な点で言えば、体のいいギャンブルであることには違いありません。病院で仕事をしていても、業者から勧誘があったり、DMが来たりと、悪質な業者の方でもお金を持っていて世間知らずな医者を食い物にしようと狙っているので、注意しましょう。大体の投資は話題になったり、勧められた時点ですでに儲かるタイミングを逃していますので、どうしてもやるなら、余剰資金から積み立てるとか、法人で生命保険を活用するとかですかね。

周りからの口車

本当は、医者全員がずば抜けた高収入ではないはずなのに、一般的には、医者=金持ちという先入感がありますので、セールスは何でも高いものを勧めてきます。下手すると奥様まで、あなた医者なんだから…とかいって、無駄遣いを助長する場合もありそうですね。

まとめ

なんだか、とりとめがなくなり、医者に限らない話になってしまいましたが、一言で言うと、高収入とはいえ、必ず固定費的な出費があるので、思ったより手取りは少ないし、家族がいればなおのこと、将来に取っておかなければならない分や、不測の出費などもあり、結果的に自由に使っていいお金は少ないということです。 「お金がない!」と思っている医者は、もう一度自分の家計や源泉徴収票などを見直してみたらいかがでしょうか。