医者向けのちょっといい情報

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クリニックにおける診療予約の是非

今でも時々悩むことがある診療予約。患者さんの利便性のためには、もちろんあった方がいいですし、実際、予約制を導入している病院やクリニックも昔に比べると大分増えました。自分のクリニックでも予約は入れてますが、ちょっとトラブルの元になる場合も。ちょっと考察してみました。

古典的な予約制(時間指定)

予約制というと思いつくのはまずこれですね。何時何分に予約しました、というやつですね。患者さんにとってもわかりやすいのですけど、考えなければいけない点がいくつかあります。

完全予約制にするかどうか

これらの点は、診療科によってもかなり違ってくると思います。例えば、美容、自費診療などは基本的に完全予約制がいいと思いますし、精神科なども、ほかの患者さんとの兼ね合いなど、予約制が馴染む科かと思います。一方、小児科や皮膚科など急性疾患が多い診療科では予約制はなかなか難しいところがあります。また、病院の場合、性質上も予約制にしてしっかり診察みたいのが馴染む気がしますが、一般のクリニックの場合は、数を診る、コモンディジーズが多いのがあり、完全予約制にして採算ラインに持って行けるかなども問題もあります。

 

予約の時間を何分単位で何人ずつとするか

クリニックの場合、予約制を入れる場合に一番困ることとして、「一人一人の診察時間が一定でない」というのがあります。初診と再診の患者さんでは、平均すれば初診の患者さんの方が時間がかかるものですが、内容によっては2分程度で終わる方もいれば、20分話しても全く話が進まない人もいます。例えば、予約時間はなるべく細かく決まっていた方が、患者さんにとっては利便性がいいはずですけど、10分単位の予約制にして、20分話す人がいたら、そもそも予約が成り立ちませんし、トラブルの元になります。自分が実際にかかったクリニックで10分単位で指定しているところがあったのですけど、時間通り診てもらえたことがないです(笑)。

自分のところでは予約優先で予約外もある程度間に挟んで診療していますけど、どうしても不確定要素が多いので、予約単位を30分にしています。本当は1時間にしてもいいんですけど、それでは予約する意味があまりなくなってしまいます。

また、何人ずつその時間に入れるかも問題です。単純に診られる人数で決めてしまうと、予約外の患者さんがたくさん来たときに、診察が回らなくなってしまうので、特に混み合う時間枠については、むしろ予約枠を減らす、すいている時間帯の予約枠を増やすなども作戦としてアリかもしれません。

クリニックの予約は「目安」として考えてもらう

正直、上記の理由で、いくら熟慮して、予約システムを考えてみても、守れないことの方が多いかと思います。患者さんも、ある程度それは理解していますし、長年同じシステムでやっていれば、馴染んだ患者さんが自然と残りますので、大きなトラブルは起きないものですけど、やはり繁忙期などで、絶対数が多くなると、どうしても大幅に予約時間にずれが生じて、クレームをいただくことがあります。そういうときには、こちらも人間なので、「仕方ないでしょう!」といいたくなることもありますが、低姿勢で謝罪するとともに、こちらの主張もちょびっと織り交ぜでお話ししています。

 

予約を取るにも時間がかかる

自分で予約制をしていて気がついたことは、予約の話をするのも時間がかかことです。「次は~週間後に来てほしいんですけど、いつがいいですか?」という形でお話をするのですけど、予定を見たり、なかなかこれる日が思いつかない、などなど、すぐに決まらない場合、結構診察時間を圧迫するので、予約がない方が、結局患者さんをお待たせしないのでは?と考えたりすることがあります。

予約を取ってくれない人もいる

クリニックの自分勝手な意見を言えば、昼間お時間のあるご高齢の患者さんには、なるべくすいている時間帯に来てもらいたいですし、忙しい患者さんには予約を活用していただいて、急ぎの用事でなければ、予約枠があいているところに収まってほしいのですが、現実はなかなか難しいです。ご高齢の患者さんは、説明を繰り返しても、覚えていないとか面倒くさいからと予約をせずに土曜日の混んでいる時間帯に受診したり、順番が飛ぶということでクレームをいう方が多いです。また、予約枠があいていなくても、その日のその時間しかこれないということで、飛び込みでかかる患者さんは一定数いらっしゃいます。

予約のキャンセル

予約制をしていると、必ず出てくるのが、キャンセル問題ですね。患者さんにも都合があるので仕方ないですけど、予約を入れてはキャンセルするのを繰り返す方がいます。また、キャンセルしてくれればまだいいのですけど、キャンセルの連絡なく、次の日混んでいる時間帯に来るようなこともあります。キャンセルがきっかけで、気持ち的に来づらくなり、結果としてこなくなってしまう方もいるかもしれませんね。

自費診療に関しては、多くのクリニックが無断キャンセルについて、キャンセル料を設けています。自費診療の場合、一人あたりの単価が高く、損失が大きいのと、いろいろなタイプの患者さんがいるということで、実際の損失の穴埋めとマナーの悪い患者さんを排除する両方の意味合いがありそうです。

自分のクリニックではインターネット予約を入れていませんが、インターネット予約は患者さんにとって利便性が非常によく、大きなメリットがあると思うのですが、気軽に予約ができる反面、無断キャンセルも増えると思われるので、何か対策が必要になりそうです。

 

順番予約について

医療機関向けの予約システムにはもう一つ、順番予約というシステムがあります。自分のところは入れていませんし、業者のセールストークしか聞いていませんが、予約というよりは、クリニックに来る前の事前受付のようなものですかね。「順番取り」なんですけど、呼んだときに患者さんがいればいいですが、いなかったときの扱いが大変そうですね。来たときにすぐ呼ばれないとクレームをいう人もいそうですし。初期費用などもそれなりにかかりますから、またちょっと調べてみようと思ってます。

まとめ

時代の流れから、予約制を取り入れることは、だんだん一般的になっていますし、患者さんにも基本的には好評をいただくのですけど、患者さん、クリニック側どちらにもメリット、デメリットがあり、その点について、特にトラブルを生じないような配慮が必要です。何にしても、システムについて、ある程度説明しておき、有効に利用してもらえるようにしないといけませんね。