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診療報酬改定2018の要点 ー機能強化加算ー

 

今回の診療報酬改定、いろいろな新しい試みがありますが、200床未満の病院とかかりつけ医機能に係る診療報酬の届出等を行っている診療所にとってプラス材料となるのが、機能強化加算というものになります。

機能強化加算 80点

概要

夜間や休日でも患者からの電話相談に対応できるなどのかかりつけ医機能を整えている診療所や200床未満の病院に受診する際は初診料が80点(800円、3割負担で240円)上乗せになります。

算定要件

地域包括診療加算、地域包括診療料、認知症地域包括診療加算、認知症地域包括診療料、小児かかりつけ診療料、在宅時医学総合管理料(在宅療養支援診療所または在宅療養支援病院に限る)、施設入居時等医学総合管理料(在宅療養支援診療所または在宅療養支援病院に限る)を届け出た保険医療機関(診療所または 200 床未満の保険医療機関に限る)において、初診を行った場合。

それぞれの加算や管理料を取るのに、それぞれ要件がありますが、重要なポイントとして、

  • 24時間、患者さんの異変や連絡について対応できる体制を整えていること
  • 患者さんが、何かあったときに「最初に」当該医療機関に受診することに同意を得ていること
  • 患者さんがかかっている医療機関や処方についてすべてを把握しており、カルテに記載している必要があること

というのがあります。厳密に言ったら、24時間救急病院と変わらないような勤務態勢でないと対応できないわけで、実際、地域包括診療料については、調剤薬局も24時間対応可能であるという条件や、常勤医師が2名以上いることも要件となっていたため(今回、2名相当以上に変更)、実際に届け出しているのは診療所の1割程度、といわれていました。

 

一人あたり800円というのはどれくらいの価値があるか

さて、上記のような条件をクリアしているとして、一人あたり800円だと、どれくらいの収入増となるでしょうか。

来る患者さん全員が初診ではありませんので、1日初診が20名来ると仮定しますと、1日16000円の収入アップです。診療日が20日間あるとして、1ヶ月で32万円です。もちろん、ほかの加算や診察料の分もあるので、全然理屈にはならないですけど、今回の診療報酬改定で増えた分を考えて、かかりつけ医としての機能を強化しようと思う開業医の先生は多くないかと思います。大規模な診療所なら別として、新たに体制を整えるには負担が大きすぎますし、報酬もあまり割に合わない気がします。

 

患者さんからみた問題

在宅などに特化した診療所であれば、あまり一般診療には力を入れていないことが多く、問題も少ないと思うのですが、そういうことと関係ない若い患者さんなどからすると、加算を取る診療所は単純に「ほかの診療所よりもお金のかかる診療所」と言うことになります。加算を取るには、そのことを明示する必要がありますので、それをみた患者さんが来なくなるという可能性もありそうです。

そもそも、かかりつけ医を作ると言うことは、何かあったら、その診療所に行ったり相談しなければいけないという「縛り」を作ることになりますので、頼りにしてくれる患者さんもいれば、フリーアクセスがなくなることを疎ましく思う患者さんもいそうです。

厚労省としては、なるべくあちこちかかるドクターショッピングを減らすことで、医療費の低減にも繋がることを期待していると思いますが、現場の医師から言わせてもらうと、現状では「絵に描いた餅」ですね。患者さんにも、医療のあり方、利用の仕方について、もう少し啓蒙を行う必要があります。