雇われ院長と自主開業の違い

雇われ院長と自主開業の違い

以前、雇われ院長についての記事を書きました。現在は自主開業しておりますが、比較的アクセスも多く、体験談みたいなものをご希望されている先生方もいると思いますので、今日はそれについて書いてみます。

雇われ院長とは

雇われ院長とは、基本的に自分は出資せず、無床の診療所の責任者になることですが、パターンもいくつかあると思います。まずは医療法人が経営するクリニックの院長を任されるパターンです。この場合、医療法人の理事となり、届け出上は診療所の管理者となります。このパターンでは、理事長が善良な医師、理解ある医師である限りは、比較的納得いく仕事ができるかと思います。

もう一つは、医師でないものが主体に開業するパターンで、美容皮膚科やコンタクト主体の眼科に多いですが、開業は形式上自分で行う形で、資金はすべて出してくれるというものです。その代わり、コンサルト料などの名目で、給与以外の収益はオーナーの元へ収まるという寸法です。法律上は、医師以外のものがクリニックを開設、経営できなませんから、こういう形になります。相手は医師ではありませんから、基本的に利益重視で、トラブルも多く、何か起きたときは、自分にすべての責任が降りかかってきます。2階に上ったら梯子を外されるみたいなことも覚悟しないといけません。

雇われ院長を検討する前に

個人的な考えでは、気心の知れた相手がオーナーならともかく、m3に常時求人広告を出しているようなところで雇われ院長をするべきではないと思っています。頻繁に院長募集をしているところは、何らかの理由で人の入れ替わりが激しい、条件が悪くて人が集まらないなど、何らかの理由があるはずです。

あと、将来的に継承や自主開業を目指す方が雇われ院長をする場合の注意点としては

  • 入職前に、将来は継承できますとうたっていても、ご破算になることが多い(最低限、期限を設けて覚書の形で残すように)。
  • 自分の定住地の近隣ではやらない方がいい(もし退職したら5〜10年は近隣で開業しないこと、と言う条件がついていることが多い)。
  • 退職したくても、すぐにできないことが多い(後任が決まるまではお願いします…的なことを言われる)ので、計画は余裕を持って。

自主開業との相違点

私の場合は、理事長も常識的な人でしたし、条件も悪くはなかったので、今から考えるとラッキーだったのかも知れませんが、両方やってみると、雇われ院長やるくらいなら自主開業がいいと考えるようになりました。相違点は以下の通りです(前述した、医療法人の理事をやる雇われ院長という前提です)。

  • まとまった資金や借り入れが必要ない。
    <必要>
  • スタッフとの雇用関係がないので、ドライに付き合えるが、理事長等から理不尽な要求をされたりすることもある。
    <人の入れ替わりが多いと、そのたびに対応が必要、求人すると費用もかかる>
  • 業績が悪くても一定の給料は保証される。逆にクリニックが流行っても、100%の見返りは期待できない。
    <業績=自分の取り分、なので収入には納得できる。ただ、患者さんが少なくても多くても気苦労はする>
  • 自分都合の休みなどを取るのが難しい。
    <休んだ分収入が減るが、自分で休診は決められる>
  • 基本的に、経費は認められない。
    <学会や車両購入、交際費など、経費で差し引ける部分がある>
  • 会計処理、税務、給与計算など、基本的にノータッチですむ。
    <ある程度は税理士、会計士、社労士に頼むが、自分でやる部分もある>
  • 自分のやりたい医療ができない場合もある。
    <自己責任だが、自分のやりたいことができる>

どうして雇われ院長を辞めたか

あまり詳細を書くわけにはいきませんが、自分の場合は、あまり多数の来院が見込めない場所での開業にもかかわらず、不振の理由を個人的な技量であるかのように言われたこと、理事長以外にも物言う人がいて、いちいち複数の人にお伺いを立てないといけなかったこと、代診がおらず、休診についてほとんど意見が通らなかったこと、などがネガティブな理由ですが、実際にクリニックをやってみて、もう少しあれをしたい、ここを変えたい、こうすればよいのにといろいろ考えることが出てきて、自分で切り盛りしたいと思ったのも事実です。

ただ、実際に自己開業の際に、雇われの時の経験がかなり生かされたのも間違いありません。おかげさまで、開業もスムーズにでき、業績もまずまずの状態で推移しています。最初から条件をしっかり確保し、退職の際にトラブルにならないように予防線を張っていれば、雇われ院長も悪いものではないかも知れません。

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