医者向けのちょっといい情報

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世界一新生児の死亡率が低い国、日本

ユニセフが発表したところによると、日本が世界一、新生児の死亡率が低いと言うことです。これって、世界に誇っていいことですし、医療水準だけでなく、いろんな意味で日本が平和で素晴らしいと言うことですから、もっと大々的に報道してほしいんですけどね…。

世界の新生児死亡率(百分率に換算)

死亡率の低い国TOP10

  1. 日本      0.09%
  2. アイスランド  0.01%
  3. シンガポール  0.11%
  4. フィンランド  0.12%
  5. エストニア   0.13%
  6. スロベニア   0.13%
  7. キプロス    0.14%
  8. ベラルーシ   0.14%
  9. 韓国      0.15%
  10. ノルウェー   0.15%

死亡率の高い国TOP10

  1. パキスタン    4.56%
  2. 中央アフリカ   4.23%  
  3. アフガニスタン  4.00%
  4. ソマリア     3.88%
  5. レソト      3.85%
  6. ギニアビサウ   3.82%
  7. 南スーダン    3.79%
  8. コートジボワール 3.66%
  9. マリ       3.57%
  10. チャド      3.51%

改めて数字を見ると、日本の死亡率の低さに驚きなのですが、死亡率が高い国の数字にも驚かされます。悪い国には政情不安定で有名な国や、アフリカ諸国が多く、予想通りとはいえ、4.56%というと、新生児の25人に1人は死んでしまう計算になります。

 

なぜ死ぬのか

ユニセフの報告書では、新生児死亡の8割以上は、出生時の合併症や感染症によるものなので、専門のスタッフがいれば予防できるはずなのに、不足していると指摘されています。実際、レポートに専門スタッフの人数についても言及されていて、例えば日本は人口1万人にたいし131人のスタッフがいるのに対して、ソマリアはなんと1人…。非常に少ないのです。もちろん、その国の経済状況や衛生状態も大きく関係してきますが、少なくとも日本の産科、小児科医療は非常に高い水準にあり、恵まれた環境でお産ができるといえそうです。

日本の産科医の境遇

これだけ低い新生児死亡率を出し、かつ世界的に見ても、関連スタッフも少なくないわけですから、産科を志す医師も多いと思いきや、現在では産科は1,2を争う不人気科となっています。その理由として言われるのが、

  • お産に関しての評価の低さ、要求の高さ
  • 訴訟が多い
  • 勤務時間が長く、当直も多い

あまりに安全にお産ができるため、いつしか「安全が当たり前、お産は死とは関係のないイベント」という概念が形成され、何かあれば訴訟という状況になっています。また応召義務などの存在もあるのですが、「医師は365日、24時間何かあれば駆けつけるのが当たり前」という考えが、一般、医師の両側にあり、交代制などの思い切った負担軽減策をとれない状態になっています。訴訟に関して、産科医療保障制度なども創設されましたが、やはり、いざ事件になると、こぞってマスコミがセンセーショナルに報道するため、産科医療が悪者にされる風潮があります。

 

どうしたらいいか

今は、道義的にも理論的にも正しい主張をしても、話のもって行き方で「炎上」してしまう時代ですけども、

  • 日本の産科医療の水準が世界の中でどれほど優れているか
  • お産に関して、どのようなリスクがあるか
  • 不可能なこと、不可抗力なものをはっきりさせる
  • 産科医療の体制を維持するのに何が必要か
  • モチベーションを上げるための方策

などを、医師側から積極的にアピールする必要があるのではないでしょうか。私自身、産婦人科医ではなく、どうしたらいいか正直わかりませんし、頑張りましょうとしかいえないですけどね。